3交代制の功罪~看護師転職の最前線

  • 看護師の3交代制勤務は、日勤・準夜勤・深夜勤という3つのシフトで回していくスタイル。ここ数年、2交代シフトの病院が増えてきていますが、一昔前は看護師といえば3交代制が一般的でした。1回の勤務時間が9時間程度に収まることが多い反面、労働時間が分散するためにまとまった休みが少ないというデメリットが存在します。特に看護師さんから評判が悪いのは、日勤を終えたその日に深夜勤が入るシフト。準夜勤が空くだけなので、通勤時間を差し引くと2~3時間しか寝ないで次の深夜勤に入らなければならないという非常に過酷なシフトです。
    しかし、2交代の夜勤では拘束時間が16時間以上にわたることもあるため、体力的に対応できない看護師さんも多く、3交代シフトを支持する声も多く聞かれます。ご自身の体力、生活リズムに合うようであれば、3交代制の病院を選んだほうが負担が少ないかもしれません。いずれにせよ、自分にマッチするのがどちらのシフトなのかを熟慮した上で転職先を選ぶべきでしょう。
  • 3交代

看護師の勤務実態~実は3交代のほうが負担が少ない!?

  • 夜勤労働時間
    約9時間
    3交代制の病院
    79.7%
    ナースの支持率
    約20%
  • 最近、2交代制の病院が増加傾向にあります。日本看護協会でも、『夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』で、日勤・夜勤ともに12時間の2交代勤務を勧めているという噂も出回っているようです。 しかし、実のところ日本看護協会は、夜勤が16時間以上になるシフトは看護師の負担があまりに大きいことを問題視しているだけ。単に“勤務時間を13時間以内にとどめる”という目的のために、12時間2交代という勤務編成基準案を出しているに過ぎません。看護師によって向き不向きがあるため、3交代の他に2交代という選択肢があったほうが良いと考えているだけなのです。むしろ、協会としては2交代制の行きすぎた拡大を危惧し、厚生労働省に2交代制拡大を抑制するように働きかけています。
    実際、愛知県の医労連(医療介護福祉労働組合連合会)書記長である西尾氏によると、「多くの病院は看護師の労働環境改善などではなく、コスト削減のために2交代制を導入したいだけ」なのだそうです。看護師は勤務が終わってすぐに帰れるわけではなく、看護記録を記入したり、次シフトの看護師に申し送りをしたりといった雑務をこなさなくてはなりません。3交代だと、準夜勤・深夜勤それぞれに残業代を支払うことになりますが、2交代なら引き継ぎは1回だけ。準夜勤の看護師に払っていた分の残業代を払わずに済むわけです。
    とはいえ、3交代にも日勤→深夜勤という無茶なシフトが存在するという大問題が存在します。場合によっては日勤後の残業が長引き、そのまま休みを取らずに深夜勤に入るケースもあるそうで、こういった問題が“2交代のほうがマシなのでは?”という期待に繋がっているのだとか。本来は残業をなくす方向で検討しなければならないのに、問題をすり替えて2交代制への移行に持っていくという病院側の思惑が働いているということでしょう。実際は、残業問題さえなくなれば3交代のほうが負担が少ないと考えている看護師も多いのです。
  • 長時間夜勤がない分、3交代制のほうが良い!?
  • 長時間夜勤がない分、3交代制のほうが良い!?

    3交代のメリットといえば、2交代制の16時間夜勤をしなくて済むことでしょう。『米国ナースの労働環境と患者安全委員会』による提言、“患者の安全を守る―医療・看護の労働環境の変革”をベースに、労働科学研究所がまとめたデータによれば、夜勤の開始から9時間を超えると有意に医療過誤の発生率が上昇し、12時間経過すると平常時の2倍、16時間で3倍まで上がるのだとか。事実、アメリカでは“州政府はエラーを減らすため、自発的なものを含めて看護スタッフの労働時間が1日12時間、週60時間以上になることを禁止するべきだ”という趣旨の勧告がなされました。
    国際労働機関(ILO)の夜業条約・勧告でも“夜業労働者の勤務時間は、昼間に行われる同一業務の労働時間よりも平均して少ないものであるべきだ”という旨が明記されています。これらを踏まえても、やはり16時間を超過する夜勤がある状態は望ましくないものと考えるべきでしょう。
    となれば“引き継ぎ回数が少ないために伝達ミスが減る”といった2交代支持者の意見はナンセンスであり、集中力を維持しやすい分、3交代制のほうが安全という考えに分がありそうです。
    もっとも、人によって合う合わないがありますから、一概にどちらが優れているかという結論を出そうという考えはありません。しかし、現状の科学的分析によれば、3交代制を維持したまま残業の低減に力を注ぐほうが合理的であるという意見が優勢であることは知っておくべきでしょう。もちろん、シフトが3交代でも日勤後に多くの残業があり、さらに当日深夜勤があるようでは問題外。そうした事にならないためにも、転職コンサルタントなどに相談して、病院ごとの実情を調査した上で転職活動が進んだほうが無難だと思います。

看護師の勤務実態~3交代制のメリットは?

  • 3交代制は、1回の勤務時間が9時間程度に留まるため集中力を維持しやすい!
  • 労働科学研の分析によれば12時間以上の夜勤は危険!3交代のほうが負担が少ない!
  • 2交代は病院側のコスト圧縮が目的で、看護師の負担は考えられていないという意見も!?
  • ただし3交代だと、病院よっては日勤後の残業が長引き、そのまま深夜勤という地獄のシフトも…

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