復職は誰でも可能!?~深刻な看護師不足の実態
- 結婚や出産、育児による長期ブランクがある看護師さんの中には“これだけ空白期間があると復職は難しいのではないか”という不安があるかと思います。しかし、今は全国で5万6,000人もの看護師が不足しており、ブランクがあるからといって採用を見送れるような状態ではありません。したがって、復職の意思さえあれば、就業先の病院を見つけることは容易です。ブランクによるデメリットがあるとすれば、それは配属先の希望が通りにくかったり、実務経験の豊富な転職者と比較すれば給与が下がるといった、就業条件面の部分になるでしょう。そのあたりに納得できるのであれば、復職のハードルは非常に低いと断言できます。
2006年の診療報酬改定によって7:1の看護師配置基準が導入され、基準を満たした病院には診療報酬加算が行われるようになった影響で、看護師需要はますます拡大しています。ですが、未だに多くの病院が10:1、13:1といった配置基準で運営されているのが実情。日本中に、55万人程度いるとされる潜在看護師の復職に期待を寄せる意見も多くあるのです。今、復職したいという思いがあるのなら、1日も早く再就職活動を初めて頂きたいと強く願います。
看護師不足の裏側~復職者の需要が高い理由
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- 看護師不足数
- 56,000人
- 看護師離職率
- 11.0%
- 新人の早期離職率
- 9.2%
- 現在、今すぐに復職したい看護師さんはもちろん、将来的な復職を視野に入れている方でも、職場復帰のハードルは非常に低くなっています。新人看護師が毎年4万5,000人前後補充されているにもかかわらず、毎年10万人を上回る離職者が出るため、どの病院も慢性的な看護師不足に喘いでいるからです。
こうした理由の1つは、やはり看護師の約95%が女性であるということでしょう。女性の場合は、結婚による寿退職、出産による退職が起こり得ますから男性と比べてどうしても離職率が高くなるのです。実際、看護師の離職率はこの10年、ほとんど11%台で推移しています。他の職業であれば、女性が退職した分の仕事を男性がカバーできるので人材不足に直結するとはいえませんが、看護師の場合は別。何せ男性は5%しかいないのですから、退職や休職して現場を離れた女性の仕事をカバーしきれるはずがありません。
こうして1度、看護師不足が生じてしまうと、後から是正するのは非常に困難です。人材が不足すれば、1人あたりの仕事量が増え、どんどん過酷さを増していきます。16時間にも及ぶ夜勤では、1晩の歩行距離が16kmを超えるとさえ言われており、看護師の負担は他業種の比ではありません。その結果、体力が劣る看護師さんの早期離職を招いているのも事実。実際、入職1年目の新人看護師が1年以内に辞めてしまう確率は平均9.2%となっています。
しかし、これが人員に余裕のある配置基準7:1の病院になると平均8.5%まで低下します。このことから、業務が過酷であるほど早期離職率が上がるという関連性は明確と言えるでしょう。ですから、看護師不足を緩和するためには、病院の労働環境全体を改革しなければならないわけです。ただし、病院の大半は民間経営であり、一律に是正する方法などないでしょう。第一、厚生労働省や政府は、民間の法人にそこまで介入する権限はありません。要するに、看護師不足が解消することは当面あり得ないと考えても差し支えが無いわけです。このことから、ブランクのある看護師であっても充分に需要があると断言できます。
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配置基準を見直せば、看護師の離職率は低下する!?
医療関係の有識者の中には、7:1の配置基準が普及すれば看護師の高離職率問題は解消すると考えている人もいるようですが、それには疑問があります。配置基準7:1の病院でさえ早期離職率8.5%となっており、労働環境がかなり過酷であることには変わりないのです。
それでは、例えばこの配置基準をさらに引き上げた場合はどうなるのでしょうか?実際、アメリカのカリフォルニア州では、4:1という配置基準を採用している病院が数多く存在しています。これは、アメリカが行った急性期病院に対する調査で、看護師1人が担当する患者の数が1人増えるごとに、死亡率が7%増加するという報告がなされ、看護師の増員を図った結果ですが、実際に4:1を採用した病院が増えたことで、州全体の医療水準は飛躍的に向上したそうです。確かに、1人のナースが診る患者の数が少なければ看護業務にも余裕が生まれ、医療過誤などが発生する確率も低下するでしょう。
しかし、ここで問題にしたいのは、看護師配置基準と離職率の相関性。カリフォルニアに限らず、アメリカでは看護師1人あたりの受け持ち患者数が少ない傾向がありますが、にもかかわらず90年代後半から離職率が補充率を上回り、今では毎年平均8.5%の欠員が生じているのだとか。これは、ちょうど日本の7:1配置基準における早期離職率と同じ値ですね。つまり、単純に配置基準を引き上げても、看護師の高離職率という問題は解決できない可能性があるということです。
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看護師不足の意外な要因~国民皆保険というシステム
ちなみに、患者に対して看護師などの医療スタッフが増えるということは、病院の運営コストも跳ね上がることを意味します。そんなことをすれば、日本の国民健康保険料はいくらになるでしょう?そもそも、アメリカのような手厚い看護師配置は、国民皆保険制度を採用せず、患者の自費で治療をさせているからこそ出来ることなのです。
ではここで、日本と同じく公的な医療保険、労災保険、年金保険などを採用している福祉国家、ドイツの例を見てみましょう。厳密には完全な公的皆保険制度ではありませんが、国民の90%が公的医療保険に加入しており、残る10%は民間医療保険に加入している国です。要するに日本と同様、保険料の収入の中で医療拡充を考えなければならない状態といえます。となると、もうすでに予想がついている方もいると思いますが、ドイツでも日本と同時期の1960年代頃から看護師不足が社会問題化しているのです。やむなくフィリピンやインドネシアなどの発展途上国から看護師を受け入れましたが、当然、看護レベルの低下を招きました。といっても、ドイツの看護師は今でも大学教育を受けておらず、3年間の職業訓練だけなので、日本でいうところの准看護師クラスの人材が大半という話もありますが…。そうして看護師不足、看護レベル低下が顕在化していった結果、1990年代以降のドイツでは賃金の安い東ヨーロッパの女性を住み込みで雇い、介護してもらうという高齢者も増えているのです。
ここまで問題が深刻化していないだけ、日本は良くやっていると考えることもできますよね?厚労省や政府も、看護師が忙しいことも人が足りないことも重々分かっているのです。それでも現状の制度の中では精一杯やっている部分があり、これについては簡単に解決する問題ではありません。ですから、ブランクのある看護師さんであっても復職できるという状態は今後も長く続くはずです。同時に、たとえ最低限の看護技術しか持っていないとしても充分に患者さんの役に立てる余地があるということ。ブランクを恐れず、是非とも復職を目指して欲しいと思います。
復習編~復職看護師求人の現状
- 日本全国で5万6,000人もの看護師が不足中!復職すれば日本の看護師事情を好転させられる!?
- 看護師の離職率は毎年11%台の超高水準で推移…人手不足で復職者でも即採用の病院が多数!
- 新人看護師の1年以内離職率は9.2%。仕事が過酷なため長続きしない人も多い…
- 7:1配置の病院なら離職率は8.5%に低下するとのデータも!長く働きたいなら7:1病院が狙い目!
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