看護師求人の数は東北一!仙台市に医療機関が集中
- 宮城県内に存在する医療機関は、病床数20以上の病院が119院、病床数19以下の診療所が1,539院となっています。このうち県内の病院にある病床数をすべて合計すると26,611床となり、仮にすべての病院が看護師配置基準7:1を満たすと仮定した場合、3,802名の看護師が常に病棟に入っている計算。2~3交代のシフトを組んで常に7:1を維持するとなれば、1万5,000名を超える病棟看護師が必要になるはずです。実際には病棟以外にもOP室勤務、ICU勤務、外来勤務といった看護師が必要なので、看護師需要の総数はさらに多くなります。
また、宮城県は医療機関の数が多いため、転職先の医療機関を見つけることが非常に容易です。東北地方最大の都市である仙台市を中心に、スムーズな転職活動が期待できるでしょう。仙台市1つに病院、診療所が一極集中しているのは否めませんが、周辺の名取市、多賀城市、さらには県中央部の大崎市などにも一定数の求人が出ていることが多いです。粘り強く探せば、仙台以外でも希望条件を満たす転職先を見つけ出すことは充分に可能なのではないでしょうか。
宮城の看護師求人TOP10
宮城県の医療事情~看護師求人との関連を徹底分析!
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- 病院数
- 119ヶ所
- 診療所数
- 1,539ヶ所
- 高齢者人口
- 517,927
- 後期高齢者人口
- 269,708
※2013年6月時点のデータです
東日本大震災の折、宮城県石巻市の石巻市立病院が孤立状態となりました。しかし、石巻市は石巻市立病院が孤立状態にあることに気づくのが遅れ、結局、医師と事務員が石巻市立病院から石巻市役所まで3キロもある水没した道のりを歩いて救助を求めに来るまで何ら対応することができませんでした。2人の男性が市役所にたどり着いたのは3月13日のこと。その時、すでに震災発生から48時間あまりが経過していました。彼らは息も絶え絶えといった状態で、病院1階が完全に水没し、170人の入院患者が取り残されている旨を報告。市はすぐに石巻赤十字病院に状況を伝え、災害派遣医療チーム(DMAT)が石巻市立病院に急行。どうにか翌14日には170人全員を仙台市など被害が少ない地域の病院に移することができましたが、結局、搬送が完了したのは震災発生から約65時間後のことでした。こうして石巻市立病院にいた170人の患者は事なきを得たものの、小規模な病院では救助が遅れたために低体温症で亡くなった患者さんもいたそうです。
なぜ、宮城県だけが震災発生後、迅速に孤立病院の有無を確認できなかったのでしょうか?それは、宮城県が広域災害救急医療情報システム(EMIS)を導入していなかったからです。このEMISは災害発生時に使用するネットワークシステムで、緊急事態の発生した病院、災害拠点病院、都道府県庁が状況を入力し、その内容を全体で共有するためのもの。その内容を閲覧した都道府県庁やDMATが効率的に優先順位を決め、被災病院への支援を行うようになっているのです。これは阪神・淡路大震災の経験から、日本政府が整備してきたシステムで、宮城県を除く東北5県はすべて導入していました。3.11の被災地域で未導入だったのは宮城県だけです。もっと正確に言うと、導入していなかったのはありません。震災の2年前にあたる2009年、年間480万円の接続料金を予算削減の対象とし、EMISから脱退していたのです。結果、宮城県石巻市は病院の被災情報を得ることができず、石巻市立病院をはじめ複数の病院が孤立状態にあるという情報を48時間にわたって掴むことができませんでした。もしあの時、EMISを導入していたら…ひょっとするともう少し多くの命が助かっていたかもしれません。
2011年8月の段階でもEMISを導入していないのは、宮城県の他、徳島県、島根県、長崎県、宮崎県、そして沖縄県の合計6県です。阪神大震災と東日本大震災、2度にわたる惨禍の経験を無駄にしないためにも一刻も早い全47都道府県のEMIS導入を期待したいですね。
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2次保健医療圏の再編問題を考える
これまで宮城県の2次保健医療圏が7つに分かれていました。ところが、宮城県は2013年2月、2013~2017年度の第6次医療計画において、今までの医療圏を再編し、4医療圏へと統合することを決定。具体的には震災で大打撃を受けた沿岸部を含む県北部の医療圏を合併させるという内容でした。まずは医療圏がどのように統合されたのかを下図でご確認ください。
第6次医療計画による医療圏統合
医療圏統合前 | 統合後 |
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気仙沼医療圏登米医療圏石巻医療圏 | 石巻・登米・気仙沼医療圏 |
栗原医療圏大崎医療圏 | 大崎・栗原医療圏 |
仙台医療圏 | 仙台医療圏 |
仙南医療圏 | 仙南医療圏 |
ただ、統合といえば聞こえが良いですが、内容を良く確認すると、実質的には“気仙沼と登米が石巻医療圏に吸収され、栗原が大崎医療圏に吸収される”ということに他なりません。事実、石巻・登米・気仙沼医療圏の基幹病院は石巻赤十字病院ですし、大崎・栗原医療圏の基幹病院は大崎病院になっています。
この決定に、統合の対象となった地域からは不満が噴出。特に宮城県の最北に位置する気仙沼医療圏は危機感をあらわにしています。というのも、気仙沼は未だに震災の影響が強く残っており、2012年秋の時点でも病院の再開率は73.1%に過ぎません。この状態で石巻に統合されてしまえば、気仙沼圏域の病院が復興の機会を失ってしまう可能性があるのです。
基幹病院となった石巻赤十字病院の機能が充実していくにつれ、旧気仙沼医療圏の病院は役割を奪われ、診療科目の縮小、休止に追い込まれる可能性が出てくるかもしれません。今まで旧気仙沼医療圏の2次救急を担っていた気仙沼市立病院までが縮小に追い込まれれば、気仙沼市周辺の救急医療が衰退していくことになります。気仙沼市内に救急診療できる病院がなくなってしまうようなら、新医療圏の基幹病院となった石巻赤十字病院あたりに搬送しなければなりませんが、気仙沼から石巻まではかなりの距離があります。さらに高速道路などの交通網が発達しているわけでもありませんから、救急搬送にかかる時間が大幅に伸びるのは確実でしょう。果たして、復興途上の今、医療圏の統合を強行する必要はあったのでしょうか?正直なところ、やや疑問の残る医療計画と言わざるを得ません。
転職を考えている看護師さんは、こういった地域医療計画にも目を向けることが大切です。病院の縮小傾向が認められるエリアでは将来的に人員が削減される恐れもあるでしょう。逆に他のエリアを吸収合併した医療圏の基幹病院であれば、今後ますます拡充していく見込みがあるはず。せっかく転職するのなら、あらゆる可能性を考慮して、ベストの選択をしたいものですね。
宮城の看護師転職の求人4大POINT
- 宮城県の病院には計26,611床の病床が存在!7:1看護には3,802名の病棟看護師が必要♪
- 常に3802名の病棟看護師を配置するためには、宮城全体で1万5,000人の病棟看護師が必要!
- 2013年度から一部医療圏が合併!2つの医療圏を吸収した石巻の人材需要が増加傾向!?
- 県庁所在地&東北地方最大の都市である仙台市周辺に医療機関が集中!