求人数は1万人規模!?岩手県の看護師転職の実態は?
- 岩手県内の医療機関内訳は病床数20以上の病院が80院、病床数19以下の診療所が918院となっています。人口10万人あたりの数で見ると、病院数が6.02院で全都道府県中25位、診療所数が69.02院で全国39位。どちらかといえば病院のほうが充実している状態です。ちなみに県内の病院が有している病床数をすべて合計すると18,790床となっており、仮に全病院が看護師配置基準7:1を目指すのなら、2,684名の病棟看護師が常に勤務中になっていなければなりません。その状態を24時間265日キープするためには1万人以上の病棟看護師を雇用しておく必要があるでしょう。実際には7:1看護を要しない慢性期病棟も含まれるでしょうが、逆に2:1の配置が要求される集中治療室(ICU)、4:1が必要な高度治療室(ハイケアユニット・HCU)などもありますから、トータルでは1万人よりさらに多くの人材が必要になると考えて間違いありません。それどころか病棟以外にも外来、オペ室といった職場がありますし、さらには病院外にも訪問看護師ステーションや老人ホームといった働き口があるわけですから、岩手県内の看護師需要は天文学的な規模になるはずです。それらを加味すれば、看護師が岩手県内で転職先を見つけることは決して難しくないでしょう。
医療機関は県庁の置かれている盛岡市周辺に集中していますが、それ以外にも一関市、奥州市などで多くの求人が出ています。また、求人数は少なくなるものの、郡部など看護師不足が顕著な地域では何としても看護師を確保しようと他より好条件の求人が出ている可能性もあるでしょう。諦めずに探せば、好待遇の転職先を見つけることは充分に可能だと思います。
岩手の看護師求人TOP10
看護師確保が課題!?震災復興を目指す岩手は求人増加中!
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- 病院数
- 80 ヶ所
- 診療所数
- 918ヶ所
- 高齢者人口
- 358,665
- 後期高齢者人口
- 196,469
※2013年6月時点のデータです
岩手県の医療問題を語る上で、2011年3月11日の東日本大震災を外すことは出来ません。多くの医療機関、医療従事者が被害を受け、2013年現在も未だ完全に復興したとは言えない状態なのです。特に顕著な例としては、県立山田病院、高田病院、大槌病院の3院が挙げられるでしょう。これら3つの病院は地域医療の中核を担う医療機関でしたが、震災から1年以上が経過しても震災前の水準で医療を提供することができませんでした。もともと山田病院が60床、高田病院が136床、大槌病院が121床を有していましたが、1年以内に病床を運用できるまでに復興したのは高田病院だけです。残る2病院は無床の仮設診療所として外来診療を行うのがやっとでしたし、病床を再スタートさせることに成功した高田病院にしても、仮設病院の中でわずか41床を運用するに留まっていました。震災から1年以上が経過しても、とても以前の状態には戻っていないのです。
そもそも、病院を震災前の水準で動かすためには建物だけ再建すれば良いというものではありません。震災前と同じだけの人材を用意しなければならないのです。しかしながら被災の影響で他県に流出した医師、看護師も多く、未だ人材確保には四苦八苦している状態。前述した大槌病院と山田病院では一時、常勤医が各3名まで減少していたほどです。わずか3名の常勤医では、とても入院患者を受け入れることは出来ません。設備の復興はもちろんですが、まずは人材確保を最優先にするべきでしょう。どれだけ設備を拡充しても、それを運用する人材なくして医療の再建は不可能なのです。
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岩手県を悩ませる医療資源の偏在問題
震災によって医師や看護師、そして医療機関といった医療資源の不足が深刻化したのはもちろんですが、岩手県の場合はそれ以前から医療資源の偏在問題が叫ばれていました。要するに、元々から問題視されていた医療従事者、医療機関の偏在が震災によって以前にも増して顕著になってしまったのです。岩手県は北海道に次いで面積は広い県で、四国全体と同じ程度の広さを持っています。こういった広大な都道府県は人材、医療機関を県全体に行き渡らせるのは難しいので、どうしても偏在問題が起きやすくなるのです。岩手県の医療をより良いものに変えていくためには、こういった前々からの課題を克服することも不可欠。岩手県の医療を真に復興させていきたいのなら、震災前の水準に戻すことではなく、より上を目指して医療事情を改善していくことが必要です。
それでは、実際に岩手県の医療資源偏在について見ていくことにしましょう。岩手県の各2次保健医療圏について医師数、病院数をまとめた表を用意しましたので、そちらをご参照ください。ちなみに表の医師数は人口10万人あたりの医師数。また、病院数は精神科病院など一般病床を持たない病院を含めた数になっています。
2次保健医療圏ごとの医療資源まとめ
医師数 | 病院数 | |
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盛岡保健医療圏 | 285.5 | 41 |
岩手中部保健医療圏 | 135.7 | 13 |
肝江保健医療圏 | 156.9 | 10 |
両磐保健医療圏 | 154.3 | 10 |
気仙保健医療圏 | 134.7 | 3 |
釜石保健医療圏 | 141.1 | 6 |
宮古保健医療圏 | 120.0 | 6 |
久慈保健医療圏 | 118.8 | 4 |
二戸保健医療圏 | 137.1 | 3 |
二戸保健医療圏 | 137.1 | 3 |
岩手県全体 | 191.9 | 96 |
日本全国平均 | 224.5 | - |
以上をご覧頂ければ分かるとおり、医師数と病院数ともに県庁所在地である盛岡市を含む盛岡保健医療圏に一極集中しています。特に医師数を見てみると、盛岡保健医療圏では日本全体の平均を大きく上回って医師が飽和しているにも関わらず、残る8つの医療圏ではすべて平均を割り込んでいる状況。医師偏在がどれだけ深刻なのか良く分かるデータです。看護師数については医療圏ごとのデータが出ていませんでしたが、基本的には医師数と比例する傾向があるため、看護師についても盛岡周辺に集中していると考えて間違いないでしょう。
しかし、これは今から転職する看護師さんにとってはそれほどネガティブな情報ではありません。看護師が不足している地域では、多少高い給与を払ってでも看護師を欲している医療機関が少なからずあるはずだからです。特に2006年の診療報酬改定からは7:1看護を実現することで病院の利益が増えるようになりました。看護師の確保は病院の経営安定化を考える上でも重要なファクターになっているのです。そのため、敢えて医療資源の少ない地域を狙い、好条件を引き出せないか交渉してみるのも1つの手。都市部に比べて求人を出している医療機関の数は少なくなりますが、まれにアッと驚くような高給の求人が見つかることもあるのです。転職先を見つけやすい都市部を取るか、それとも郊外で好条件の求人を探すか、判断の分かれるところでしょう。
岩手県の看護師求人4大法則を紹介!
- 県内の病院にある病床をすべて合計すると18,790床に達します♪
- もし全病院が7:1看護基準を満たすなら2,684名の病棟看護師が必要になります!
- 岩手県内で特に転職先の医療機関を見つけやすいのは盛岡市、奥州市の周辺エリア!
- 看護師不足のエリアでは、看護師確保のため超・好条件求人を出している可能性も!?