病棟求人だけで1万5,000件!?山口県は意外に転職有利!?
- 山口県には病床数20以上の病院が119院、19以下の診療所が1,282院あります。このうち病院の病床数をすべて合計すると27,682床。もし、大半の病院が看護師配置基準7:1を目指していくならば、常に3,955名の病棟看護師が配置についているという計算になります。もちろん配置基準というのは“常に満たしている”ことが必要ですから、この人数を24時間365日キープしていなければなりません。そうなると山口県内で雇用するべき病棟看護師の人数は1万5,000人を超える規模になるでしょう。実際には病棟看護師以外にも手術室や外来の看護師が必要ですから、病院で雇用するべき看護師はさらに多くなるはずです。
ちなみに多くの都道府県では県庁所在地となっている都市に医療機関が集中しがちなのですが、山口県はまったく違う様相を呈しています。もっとも病院が多く求人を見つけやすいのは宇部市とその周辺、次いで下関市となっており、県庁のある山口市界隈は3番手。もともと経済的に山口市をしのぐ規模を持っている都市が、下関市、宇部市、周南市、岩国市など多く点在しているので無理からぬことですが、看護師求人を探す際にはこの事実を念頭に入れておきましょう。
また県庁所在地が経済的に2番手となっている都道府県は他にもいくらか存在しますが、これだけ多くの都市が経済面で県庁所在地をしのいでいるという県は山口県くらいです。山口県ならではの独自性として興味深いものがありますね。
山口県の特選看護師求人データ
山口では医療資源が偏在~看護師求人への影響は!?
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- 病院数
- 119ヶ所
- 診療所数
- 1,282ヶ所
- 高齢者人口
- 409,327人
- 後期高齢者人口
- 217,114人
※2013年5月時点のデータです
医療問題を語る上で外せないのが、医療過誤に関連する話題ですが、山口県の場合には少々“医療過誤”の枠を超えた問題が発生したことがあります。これは山口県宇部市にある県立精神科病院の静和荘で発生した事例で、ともすれば故意に患者を安全とは言えない状況に置いていたと判断されても仕方のない例。具体的には2000年の5月、家族の同意によって行う強制的な入院、いわゆる医療保護入院していた27歳の女性患者が死亡しました。閉鎖病棟の個室で死亡しており、明確な死因が分かっていないにもかかわらず“窒息死”という死亡診断を行って、警察などの関連機関に一切の届け出をしなかったというものです。さらに入院から6ヶ月にわたって病院側が一切の面会を拒否しており、容態急変の一報を聞いた両親が駆けつけた時でさえ、面会は許されませんでした。これらの問題を受けて他の患者についても調査がなされ、続々と問題が発覚。身体拘束や保護室隔離の理由がハッキリしない例、本人の意志による任意入院なのに退院を認めなかった例、掃除や食事の配膳といった雑用を当番制にして患者にやらさせたいたことなど、人権的に大きな問題がある体制を放置していたことが分かったのです。最終的に女性患者の父親が真相解明と医療内容の改善を訴え、県の健康増進課と厚生労働省が調査に入りました。結果、厚労省による9項目の改善命令が出されるに至りました。精神科病院への改善命令は日本で7例目、国公立の病院では2例目となります。
このレベルになると医療過誤というよりは病院の治療体制の問題になりますが、中にはこういった状況を放置している医療機関があるのも事実です。大きな問題に直面した時、周りが何をしていたとしても自分だけは正しい行動を取れるでしょうか?看護師をはじめとする医療従事者にはそういった人間的な部分もまた、求められているような気がします。
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山口県の医療資源偏在を考える
全国的に深刻な問題となっている医師偏在、医療機関偏在といった傾向ですが、やはり山口県もまた、同じ問題に悩まされています。まずは山口の各医療圏についてまとめたデータをご覧ください。 表の流入率は患者が他の医療圏から搬送されてくるなどして入ってくる割合、流出率は逆に患者が医療機関を受診するために他の医療圏へと出て行く割合です。
山口県の保健医療圏の人口10万人あたり医師数
保健医療圏 | 流入率 | 流出率 | 医師数 |
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岩国保健医療圏 | 18.0% | 29.2% | 198.4名 |
柳井保健医療圏 | 32.8% | 24.3% | 197.4名 |
周南保健医療圏 | 10.9% | 23.5% | 185.6名 |
山口・防府保健医療圏 | 14.8% | 16.4% | 204.3名 |
宇部・小野田保健医療圏 | 20.1% | 9.3% | 359.6名 |
下関保健医療圏 | 6.5% | 8.1% | 242.0名 |
長門保健医療圏 | 18.4% | 16.2% | 164.3名 |
萩保健医療圏 | 9.0% | 33.3% | 161.8名 |
山口県平均 | 233.1名 | ||
日本全国平均 | 219.0名 |
以上をご覧になれば分かるとおり、まず山口県全体の医師数が充足しているように見えるのは宇部・小野田、下関の両医療圏が平均を大きく引っ張り上げているからです。残る6ヶ所の医療圏では医師数が日本全国平均を下回っており、特に長門と萩はかなりの人材不足に陥っていることが見て取れます。さらに患者の流入出を確認すると、流入率が流出率を上回っているのは柳井、宇部・小野田、萩医療圏の3ヶ所だけです。残る医療圏では患者を他圏域に搬送するケースが多くあり、医療を自己完結できていません。これらのデータから医師数と流出入率の双方とも問題がないのは宇部・小野田医療圏1つであることが分かり、山口県の医療資源が宇部・小野田地区に一極集中しているという問題が浮かび上がってきます。地域医療をより充実化するためには、これら医療資源の地域偏在を是正する方向で地域医療再生計画を見直していかなければならないでしょう。
もちろん、これを見て医療機関が豊富な宇部・小野田医療圏の求人を探すのも1つの方策です。求人の見つけやすさでいえば、それが正しい選択でしょう。しかし、逆に人材不足を露呈している地区であれば「何が何でも看護師が必要」という病院もあるはずです。医師と看護師の充足率は基本的に比例するので、医師数が足りていないなら看護師数だって不足しているのが普通。医師不足の医療圏では、看護師配置基準を満たすことに四苦八苦している場所も少なからずあるのです。看護師数については2次医療圏ごとの人数データが明確に出ていないため医師数で比較しましたが、医師が充足していないということは、医療従事者が足りないのとほぼ同義。こういった地域であれば、看護師確保のために多少、普通より高い給与、条件を提示してくれる可能性もあると思います。堅実性を取るか、それとも好条件を狙って根気良く探すか、どういった転職を目指すかはあなた次第です。
看護師求人の選び方POINT~新潟編
- 県内の病院にある病床数合計は27,682床♪病棟看護師だけで1万5,000人規模の需要があります!
- 山口県には医療資源の偏在が起きており、宇部・小野田医療圏に一極集中の傾向…
- 逆に看護師不足の地域では人材確保のために高給で雇ってくれる病院があるかも!?
- 病院数&医療市場の規模は、県庁所在地の山口市より宇部市や下関市、周南市、岩国市などが上!