2011年の看護師国家試験過去問!解答&解説つき♪

  • 看護師転職を考える上で気になるのは“自分が看護師として充分な知識、スキルを持っているかどうか”です。そこで、ここでは第100回看護師国家試験の問題を適宜改題した問題と、その解答&解説を紹介しています。

    もし試験問題が解けないとすれば、それは仕事に忙殺されるあまり看護学校、看護学部で学んだ内容を忘れてしまっているということ。転職前に基本事項の確認をしておく必要があるといえます。
    人間、記憶力には限界がありますから、例えば内科病棟に長くいれば、そこで使わない知識を忘れていってしまうこともあるでしょう。しかし、そのままでは内科以外の部署に配属されると適切な対処ができない可能性も…。転職する前に自分の知識を確認してみませんか?
  • 看護師国家試験過去問題集

    それぞれの問いに対して適切なものを選びなさい。

    問1.
    次のうち、空気感染する性質があるのはどれですか?
    a. 腸管出血性大腸菌
    b. バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VISA)
    c. ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
    d. 結核菌
    回答をチェック
    答:d
    【解説】
    空気感染というのは飛沫核感染ともいい、病原体が空気中に飛散したのち、長時間にわたって浮遊し、その病原菌を呼吸によって吸い込むことで感染することを意味します。5マイクロメートル以下の微粒子となっても病原性を維持するものが、空気感染する病原体。
    aの腸管出血性大腸菌は汚染された食物の経口摂取によって感染するので不適切。この感染経路を介達感染と呼び、O-157などベロ毒素を産生する大腸菌がこれにあたります。次にbですが、黄色ブドウ球菌は皮膚感染症、食中毒など様々病気を引き起こす病原菌です。しかし、その感染経路は創傷部からの接触感染、経口摂取による介達感染などであり、空気感染はしません。cのHIVについても性行為による接触感染、医療行為による血液感染、さらに母子感染が感染経路となっており空気感染はあり得ませんので不適。以上から、正解はdの結核菌になります。
    問2.
    次の中で、X連鎖劣勢遺伝病(伴性劣性遺伝病)はどれですか?
    a. ダウン症候群
    b. フェニルケトン尿症
    c. 血友病
    d. 先天性風疹症候群
    回答をチェック
    答:c
    【解説】
    伴性遺伝は、性染色体に依存する遺伝のことです。このうちX染色体に問題が生じている場合、女性はXXの性染色体型を持つため、もう1つのX染色体で補うことが可能。しかし、男性はXYなので唯一のX性染色体に支障をきたすことになり、病気を発症したり、女性より重い症状をきたす場合が多いのです。これがX連鎖遺伝病で、伴性劣性遺伝に相当するのは赤緑色覚異常、性染色体劣性遺伝の筋ジストロフィー、そして血友病。以上から、正解はcです。
    問3.
    膵リパーゼが分解するのは、次の中でどれですか?
    a. 炭水化物
    b. タンパク質
    c. ビタミン
    d. 脂肪
    回答をチェック
    答:d
    【解説】
    消化酵素の問題。まず、cのビタミンは消化酵素によって分解されるものではないので、除外できるはず。次にaですが、炭水化物を分解するのは唾液、膵液に含まれるアミラーゼ、腸液に含まれるラクターゼ、マルターゼ、サッカターゼなので、リパーゼは関係ありません。次にbのタンパク質を分解するのは、胃液に含まれるペプシンや膵液のトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼなど。最後にdの脂肪は、胃液や膵液に含まれるリパーゼによって、モノグリセリドと脂肪酸に分解されます。以上から、答はdの脂肪。
    問4.
    全身に動脈血を送り出すのは、次のうちどこですか?
    a. 右心房
    b. 右心室
    c. 左心房
    d. 左心室
    回答をチェック
    答:d
    【解説】
    心臓は4つの部屋に分かれています。まず、左心房が肺静脈から酸素を含む新鮮な動脈血を受け取り左心室へ、その左心室が大動脈へと動脈血を送って体循環させます。身体を巡ってきた静脈血は右心房に戻り、三尖弁を通って右心室へ。静脈血は右心室から肺動脈経由で肺に送られ、ガス交換によって再び動脈血へと生まれ変わります。これが肺循環。
    以上から、全身に動脈血を送り出すのはdの左心室になります。
    問5.
    次の中で、主観的な情報はどれですか?
    a. ドレーン刺入部が発赤したという観察結果
    b. 栄養士による体重60.5キログラムという記録
    c. 腹部が痛いという患者の訴え
    d. 自動血圧計による血圧131/74mmHgという値
    回答をチェック
    答:a
    【解説】
    これはほとんど国語の問題といって良いでしょう。主観と客観という言葉の意味が分かっていれば問題なく正解が導き出せるはず。この中で第三者による確認が困難な主観的情報は患者本人の訴えだけです。
    問6.
    次の疾病の中で、ビタミンB1の欠乏が原因となるのはどれですか?
    a. くる病
    b. 脚気
    c. 壊血病
    d. 夜盲症
    回答をチェック
    答:b
    【解説】
    まず、aのくる病は筋緊張低下、骨の変形を生じる病気で、ビタミンDやカルシウムの不足、日光に当たらないことによるビタミンDの代謝障害が原因。次にcの壊血病は創傷の治癒に時間を要したり、皮膚や粘膜の出血を生じる病気。これはビタミンCが不足することでタンパク質を構成するヒドロキシプロリンというアミノ酸が合成できなくなることが原因です。Dの夜盲症は別名を“鳥目”といい、暗闇での視力低下が著しくなる病気。これはロドプシンという暗部視覚を司る物質の材料となるビタミンAの不足によって起こります。よって、正解はbの脚気。末梢神経障害や心不全を起こす病気で、ビタミンB1(チアミン)の不足が原因です。白米にはビタミンB1が含まれていないため、白米食が一般的だった江戸時代の江戸で大流行しました。ちなみに江戸町人がうどんより蕎麦を好むのは、蕎麦を食べることで脚気が回復することを経験的に知っていたから。実際、蕎麦にはビタミンB1が豊富に含まれています。その後、明治から大正に入っても充分な副食を摂取せずに白米食を続けたことで脚気患者は拡大…。昭和初期までは年間1万〜2万人ほどが脚気によって死亡しました。近年は脚気にかかる人がほとんどいなくなりましたが、ジャンクフードの普及による栄養失調が出現すると共に、また脚気患者が時折見られるようになってきたそうです。
    問7.
    額のケガで救急外来を受診した生後半年の乳幼児の言動で、もっとも虐待の可能性が疑われるのはどれですか?
    a. 後遺症は残るでしょうか?
    b. 他の部分をちゃんと調べてください
    c. 治りますか?
    d. 子どもが自分でぶつけたんです
    回答をチェック
    答:d
    【解説】
    これは知識を問うというより、心理学的な傾向の強い問題です。正解となるcの選択肢が他と大きく違うのは、子どもの容体に関する内容ではないということでしょう。さらに、聞かれもしないのに“自分でぶつけた”と申告するのも不自然ですし、生後半年の乳児が救急外来の受診を要するほど強く額をぶつける可能性は著しく低いはず。そもそも生後半年では立ち上がって歩き回ることもないので、額に限らず頭部を自分でぶつけるということは考えにくいと思います。
    問8.
    統合失調症で入院し、その後に退院していたが拒薬が見られていた患者の家へ訪問看護に行った際、患者が耳栓をしていました。事情を聞いてみると、患者は「大声でしゃべる人がたくさんいてうるさい」と訴えています。もちろん、特に騒音などは見られません。次の選択肢から、看護師の返答として適切な対応を2つ選んでください。
    a. それは気のせいですよ
    b. ちゃんと薬は飲んでいますか?
    c. 苦情を言ってみたらどうですか?
    d. どんな内容が聞こえるんですか?
    e. 本当にうるさいですね
    回答をチェック
    答:b,d
    【解説】
    具体的かつ実践的な内容の問題。統合失調症の妄想、幻聴については同意するのも、頭から否定するのも良くありません。看護師の役割は、適切な治療を継続させる方向性、そして医師に現在の病状を正しく伝達する方向性であるべきです。
    となれば、服薬確認と病状把握に繋がる選択肢、bとdを選ぶことができるでしょう。

    転職前の復習に看護師国家試験過去問を役立てましょう♪

  • いかがだったでしょうか?もし正解率が5割を切っているようなら、本格的に復習しておく必要があると思います。転職において求められるのは、看護師全般に必要な知識!特定の診療科目でのみ求められる専門知識は転職後に習得すれば充分ですが、そうした専門知識をスムーズに吸収するためには、全分野にまたがる基本知識が不可欠なのです。

    転職活動における面接で、そうした基本事項が理解できていないと受け答えしづらい質問をしてくる面接官がいないとも限りませんから、空き時間を利用してしっかりと確認しておいてくださいね!