正看護師より難しい!?准看護師の試験問題

  • 実は准看護師の試験というのは国家試験ではありません。准看護師免許というのは知事資格に相当し、都道府県レベルの権限で与えられるものなのです。なので、試験問題も都道府県によって異なります。その結果、往々にして“国内で一律の試験を課している看護師国家試験より内容が難しい”ということが起こっているのです!
    そこで、ここでは転職前に基礎知識の確認をしたいという方に向けて、准看護師の試験問題、その解答&解説を掲載。わりと難易度が高かった2013年の群馬県准看護師試験問題を用いていますので、良い力試しになると思いますよ。
  • 准看護師の試験問題

    それぞれの問いに対して適切なものを選びなさい。

    問1.
    次の中で、ウイルスと疾患名の組み合わせとして適切なのはどれですか?
    a. 急性灰白髄炎・ポリオウイルス
    b. 伝染性紅斑・コクサッキーウイルス
    c. 水痘・ロタウイルス
    d. 成人T細胞白血病・ヒトパルボウイルスB19
    回答をチェック
    答:a
    【解説】
    まずbの伝染性紅斑は発疹、頭痛、関節炎などを生じる病気で通称リンゴ病。原因となるウイルスはdの選択肢にあるヒトパルボウイルスB19です。次にcですが、水痘はいわゆる水疱瘡のことで、原因はヘルペスウイルス科の水痘・帯状疱疹ウイルス。最後にdの成人T細胞白血病ですが、これはレトロウイルスの一種であるヒトTリンパ好性ウイルスのHTLV-Iによって引き起こされます。
    以上から、組み合わせとして正しいのはaです。急性灰白髄炎が、脊髄性小児麻痺の正式名称であることを知っていれば問題なく解答できるはず。
    問2.
    肝臓の働きとして正しいものを次の中から選んでください。
    a. 胆汁の貯蔵
    b. 有害物質の無毒化
    c. 古くなった赤血球の破壊
    d. レニンの分泌
    回答をチェック
    答:b
    【解説】
    まずaですが、胆汁を貯蔵するのは肝臓ではなく胆嚢。胆汁は肝臓で生成されて、胆嚢で濃縮、貯蔵されます。次にcの“古くなった赤血球の破壊”ですが、これは脾臓の役割。このほか、脾臓はTリンパ球やB細胞を成熟させる働き、血液の貯蔵などが行われています。最後にdの“レニンの分泌”ですが、レニンというのは尿量、血圧の調整に必要な内分泌物質で、腎臓によって分泌されるもの。
    以上から、答は有害物質の無毒化です。さまざまな有害物質を分解する機能を持っていることから、肝臓は別名“生きた化学工場”と呼ばれることもあるほど。
    問3.
    次のうち、ビタミンに関する説明として正しいのはどれですか?
    a. ビタミンB12が不足すると脚気になる
    b. ビタミンKは水溶性ビタミンである
    c. ビタミンDガ不足するとくる病になる
    d. ビタミンEは体内でエネルギー源となる
    回答をチェック
    答:c
    【解説】
    まずはaの選択肢ですが、ビタミンB12(シアノコバラミン)の欠乏によって起こるのは、ホモシステイン尿症、メチルマロン尿症、亜急性連合性脊髄変性症、巨赤芽球性貧血といった疾病です。脚気になるのはビタミンB1(チアミン)が不足した場合。よってaは誤りとなります。
    次にbのビタミンKですが、これは脂溶性ビタミン。ビタミンにカテゴライズされるビタミンA,B,C,D,E,Kのうち、水溶性はBとCだけ。それ以外は脂溶性と覚えておけばOK。ちなみに、過去には他のさまざまな物質がビタミンと称されていましたが、後に過ちであることが分かっています。具体例を挙げると、ビタミンFは必須脂肪酸、ビタミンPはフラボノイド、ビタミンSはサリチル酸、ビタミンUはキャベジンという物質で、実際にはビタミンではありません。これらは俗にビタミン様物質とされますが、実際にはビタミンではないのです。
    最後にdですが、そもそもエネルギー源になるのは炭水化物。ビタミンには熱量となる性質はありませんので誤り。
    以上から、正しい選択肢はcとなります。くる病はビタミンDの欠乏、日照不足によるビタミンDの代謝障害によって起こる病気です。
    問4.
    慢性疾患の特徴に関する説明として正しいものはどれか、2つ選んでください。
    a. 長期間にわたる自己管理が必要になる
    b. 憎悪期と寛解期が存在する
    c. 主な治療法としては手術による外科療法が挙げられる
    d. 病気の進行が急激である
    回答をチェック
    答:a,b
    【解説】
    これは、ほぼ解答のとおり。cとdは急性疾患の特徴です。慢性の経過をたどる病気には、高血圧、糖尿病など生活習慣を見直すことで体調を上向かせることができる反面、完治させるのが難しいという特徴があります。
    問5.
    次の中から、エミール・クレペリンの業績として適切なのはどれですか?
    a. 精神障害をリビドーの異常であると考えた
    b. 代表的な投影法、ロールシャッハ・テストを考案した
    c. 意識、無意識の世界の精神分析を取り入れた
    d. 精神障害の早発性痴呆を分類した
    回答をチェック
    答:d
    【解説】
    エミール・クレペリンはドイツの精神科医であり医学者です。1899年に精神病を早発性痴呆と双極性障害に分けて、近代精神医学の基礎を作りました。この早発性痴呆が、後に精神分裂病、統合失調症という順序で名称変更していったわけですね。よって、正解はdになります。
    aの“精神障害をリビドーの発達異常を考えた”に相当する人物はオーストリアの精神科医で、精神分析の祖とされるジークムント・フロイトです。次に“インクの染みが何に見えるか”という方法で性格検査を行うロールシャッハ・テストを考案したのは、名前のとおりヘルマン・ロールシャッハという人物。スイスの精神科医で、フロイト派の精神分析家です。最後にcですが、意識、無意識を扱う分析心理学を創始したのはカール・グスタフ・ユングというスイスの心理学者。個人の経験を超えた先天的領域として集合的無意識(普遍的無意識)を提唱したことで知られています。
    問6.
    本人の同意がなくても、保護者の同意をもって精神科病院に入院させることができる制度は次のうちどれですか?
    a. 措置入院
    b. 任意入院
    c. 応急入院
    d. 医療保護入院
    回答をチェック
    答:d
    【解説】
    aの措置入院は精神保健福祉法29条で定められたものです。精神障害によって自分自身や他人を傷つける可能性がある患者に対して、2名の精神保健指定医による診断が一致した場合、都道府県知事、政令市市長が患者を精神科病院に強制入院させることができます。bの任意入院は読んで字のごとく、患者本人の意志による入院。最後にcですが、これは本人の同意がなく、措置入院や医療保護入院の条件を満たしていない場合でも、精神保健指定医の判断で72時間まで入院させることができる制度です。72時間以内に他の入院形態をとるための基準を満たせないと退院させなければなりません。
    以上から、正解はdの医療保護入院になります。ちなみに2014年4月から制度が変わり、保護者ではなく家族等の同意で入院させることが可能になるそうです。
    問7.
    リビング・ウィルに関して正しい説明は次のうちどれですか?
    a. 我が国には尊厳死を認める尊厳死法が存在している
    b. はじめて法制化したのはフランスである
    c. 別名を生前遺言書とも呼ぶことがある
    d. あらゆる手段で延命させることを指す言葉である
    回答をチェック
    答:c
    【解説】
    リビング・ウィルというのは“生前に尊厳死の権利を主張し、無為な延命治療を拒否する”といった意思表示のことです。ただ、別に尊厳死だけでなく、臓器提供の意思表示、葬儀内容の決定といった内容を含めることも。
    選択肢を見ていくと、まずaは誤り。日本では尊厳死を認める法律はありません。障がい者団体、難病患者の団体、日本弁護士連合会などが強く反対していることもあり、当面は尊厳死や安楽死を認める法律が制定されることはないでしょう。次にbですが、現在、安楽死を認める法律があるのはベネルクス3国(オランダ、ベルギー、ルクセンブルク)だけです。フランスは一応、尊厳死を認めていますが、最初に法制化したわけではありません。最初に法制化したのは2002年のオランダです。dについては全くの誤り。リビング・ウィルの語義を完全にはき違えています。
    以上から、答となるのはcです。“どのように死ぬかを選び取る”わけですから、遺言書に通じる部分があるといえるでしょう。

    基本知識の確認!准看護師の試験問題を活用しましょう♪

  • 正看護師資格をお持ちの方にとっても骨のある問題が多かったのではないでしょうか?転職に際しては“どんな診療科目にも対応できるだけの基礎知識があるかどうか”が非常に重要になります。面接官がどんな質問をしてきても対応できるように、基礎知識を確認しておくことは必須!特定の診療科に関わる知識は転職してから学んでも良いでしょうが、基礎力が欠如していたのではマイナスイメージです。面接前には必ず、過去問を解き直して自分の知識レベルを確認しておきましょう。